風評対策とは何か
風評対策とは、インターネット上に存在するネガティブな情報・誤情報・誹謗中傷等によって生じる事業や個人への悪影響を、合法的な方法で軽減・改善するための取り組みを指します。
近年、検索エンジンの普及により、取引前・契約前に相手の評判を検索する行為(いわゆる「エゴサーチ」「ネーミング検索」)が一般化しています。検索結果に表示される情報が、ビジネスの意思決定に直接的な影響を与える時代になっているのです。
風評対策には、「攻めの対策」と「守りの対策」の両面があります。守りの対策は問題のある投稿への対応、攻めの対策はポジティブなブランド資産の構築です。どちらか一方ではなく、両者をバランスよく進めることが効果的です。
風評対策の対象となる情報
風評対策の対象となる代表的な情報には、以下のようなものがあります。
① 検索結果に表示される記事・サイト
Googleやyahooで企業名・個人名を検索した際に表示される、第三者が作成した記事やまとめサイトなどです。事実無根の内容や、悪意ある編集による情報が含まれている場合があります。
② 口コミサイトの投稿
Googleマップの口コミ、業種別の口コミサイトなど、レビュー型プラットフォームに投稿された否定的なコメントです。事実に基づく批判もあれば、競合による悪意ある投稿、なりすましによる虚偽情報も混在しています。
③ 掲示板・匿名投稿
5ちゃんねるや爆サイなどの匿名掲示板に書き込まれた情報。匿名性が高い分、根拠のない誹謗中傷が拡散しやすい性質があります。
④ SNSの投稿・拡散
X(旧Twitter)、Instagram、Threads、Facebook、TikTok等のSNS上での否定的な投稿や、それらが拡散することで生まれる二次的な情報です。
⑤ 個人ブログ・告発サイト
特定の企業や個人を継続的に取り上げる個人ブログや、いわゆる「告発サイト」と呼ばれるWebサイトに掲載される情報です。
風評対策の主な手法
合法的な範囲で実施できる風評対策の手法には、以下のようなアプローチがあります。
1. 現状分析・情報整理
まず重要なのは、「何が、どこで、誰に、どれだけ影響しているか」を客観的に把握することです。検索結果、SNS、掲示板、口コミサイトを横断的に調査し、影響度の高いコンテンツを特定します。
2. 検索結果対策(SEO・逆SEO)
公式情報や信頼性の高いコンテンツの検索順位を向上させるSEO対策、また、影響度の高いネガティブコンテンツの相対的な順位を引き下げる逆SEO対策があります。詳細は別記事「逆SEOとは?合法的な進め方と注意すべきポイント」で解説します。
3. Webブランディングの再構築
オウンドメディア・公式サイト・SNS・プロフィール情報を整理し、ブランドの一貫したメッセージを発信できる体制を作ります。検索結果上に「信頼できる正しい情報」が増えることで、相対的にネガティブ情報の影響が薄まります。
4. コンテンツ設計・継続的な発信
単発の対策ではなく、継続的に質の高いコンテンツを発信することで、長期的にWeb上のブランド価値を高めていきます。
5. 必要時の専門家相談
違法な投稿(虚偽事実の摘示、なりすまし、明らかな誹謗中傷等)への対応には、弁護士による法的措置が必要となる場合があります。削除請求・発信者情報開示請求といった法律事務は、弁護士の領分です。
「削除できる情報」と「できない情報」の境界
風評対策を検討する際に、最も重要な現実があります。それは——「すべてのネガティブ情報を削除できるわけではない」ということです。
裁判所が削除を認めるのは、原則として以下の要件を満たす場合に限られます。
| 投稿の性質 | 削除可能性 |
|---|---|
| 事実無根(虚偽の事実摘示) | 可能性あり |
| 明らかな誹謗中傷(人格攻撃) | 可能性あり |
| なりすまし投稿 | 可能性あり |
| プライバシー侵害情報 | 場合により可能 |
| 事実に基づく批判・口コミ | 原則として削除不可 |
| 公益性のある告発記事 | 削除不可(むしろ保護対象) |
重要なポイント:「不利な情報だから削除したい」という理由だけでは、法的に削除を求めることはできません。表現の自由や消費者の知る権利が優先されます。
悪質な業者の見分け方
風評対策業界には、残念ながら違法または不適切な業務を行う業者も存在します。2017年には逆SEO業者が弁護士法違反容疑で書類送検された事例もあり、消費者庁や弁護士会も注視しています。
避けるべき業者の特徴
- 「100%削除します」「絶対削除」など、結果を保証する
- 「成功報酬型」「削除1件◯円」という料金体系
- 事実に基づく批判記事まで「削除可能」と説明する
- 弁護士費用も含めた一括料金プランを提示する
- 「うち経由でないと安く済まない」などと囲い込みを図る
- 「ライバル業者の口コミも消せます」と提案する
⚠️ 弁護士法72条の落とし穴:弁護士でない者が報酬目的で「削除請求」等の法律事務を業として行うことは違法です。「削除代行」を売りにする業者は、業者本人だけでなく依頼者側も巻き込まれる可能性があるため注意が必要です。
信頼できる業者の特徴
- 業務範囲を「コンサルティング・コンテンツ・ブランディング」に限定している
- 「特定の結果は保証しない」と明示している
- 弁護士業務は「弁護士へのご相談ご案内」のみ行う
- 弁護士費用は別契約・直接支払いを案内する
- 紹介料・成功報酬を受領しない方針を明示している
- 事実に基づく批判は対象外と明確に説明する
合法的な風評対策の流れ
実際に風評対策を進める際の、一般的な流れをご紹介します。
STEP 1:現状の可視化
まずは現状を客観的に把握します。検索結果、SNS、掲示板、口コミサイトを横断的にチェックし、影響度の高いコンテンツをリスト化します。この段階では、感情的な評価ではなく、事実ベースでの整理が重要です。
STEP 2:対応方針の整理
各コンテンツについて、「法的対応の余地があるもの」「ブランディング対策で対応するもの」「対応不要なもの」を整理します。合法的に削除できる範囲と受け入れて対策を組み直す範囲を明確に区別することが重要です。
STEP 3:施策の実行
方針に基づき、SEO対策・コンテンツ制作・SNS整備等を実行します。法的対応が必要な部分については、弁護士に直接ご相談いただきます。
STEP 4:モニタリングと改善
対策後も継続的に状況をモニタリングし、新たなリスクの早期発見と、施策の効果検証を行います。風評対策は一度で完結する単発業務ではなく、継続的な活動であることを理解しておきましょう。
まとめ
風評対策は、単に「悪評を消す」業務ではありません。事業や個人の長期的な信用を守り、健全な情報環境を構築する戦略的な取り組みです。
- 風評対策には「攻め」と「守り」の両面がある
- すべての情報が削除できるわけではない
- 事実に基づく批判は法的に保護される
- 違法業者の選択は依頼者側のリスクにもなる
- 合法的な対策は中長期視点でこそ効果を発揮する
レピュテーションパートナーズ(Reputation Partners)では、現状整理から、対応方針のご提案、Webブランディング支援、必要時の専門家相談のご案内まで、一貫してサポートしております。「どこから手をつければよいかわからない」という段階のご相談も歓迎しております。